伝説のユニット亀と山Pの現在!幻のアルバムSIと再始動の真相
亀 と 山 p――日本のエンターテインメント史において、これほど鮮烈な残像を残したボーカルデュオが他に存在するだろうか。2000年代半ば、ある一編の学園ドラマから突発的に誕生した二人の少年は、瞬く間に列島中を巻き込む巨大な渦を生み出した。それから長い歳月が流れ、ポップカルチャーの地殻変動が幾度起ころうとも、あの哀愁を帯びたメロディと無邪気な熱狂は色褪せるどころか、むしろ特別な重みを伴って記憶の深層に居座り続けている。
音楽シーンのデジタル化とグローバル化が加速する現在にあっても、亀 と 山 pという求心力が放った強烈な光を懐かしむ声はやまない。それぞれ異なる表現の道を切り拓きながらも、どこかで互いの呼吸を意識し合っているかのような二人のカリスマ。かつてファンに約束されながら、直前で霧の彼方へと消え去った「幻のプロジェクト」の記憶とともに、その軌跡を改めて紐解いていく。
修二と彰から始まった社会現象――J-POP史に刻まれた『青春アミーゴ』の衝撃
時計の針を2005年秋に戻そう。日本テレビ系で放送されたテレビドラマ『野ブタ。をプロデュース』は、当時のティーンエイジャーのみならず日本中の視線を行儀よくテレビの前に釘付けにした。作中で主人公の桐谷修二を演じた亀梨和也と、どこか掴みどころのない草野彰を演じた山下智久。グループの垣根を越えたこの二人が「修二と彰」名義で世に放ったのが、言わずと知れた名曲『青春アミーゴ』だった。
80年代歌謡曲の哀愁を色濃く残したラテン調のマイナーコード進行、誰もが真似できるシンプルかつキャッチーな振り付け、そして思春期特有の脆さと友情を描いた歌詞。CD不況が囁かれ始めていた時代にミリオンセラーを軽々と突破し、累計出荷枚数は160万枚超を記録する。平成のJ-POPシーンを代表する怪物トラックは、単なるタイアップの枠を完全に破壊し、国民的アンセムとして定着したのだった。
12年ぶりの共鳴『ボク、運命の人です。』とユニット「亀と山P」の正式誕生
時を経て2017年。日本テレビ系の土曜ドラマ『ボク、運命の人です。』での共演を機に、二人は再び運命的な交差を果たす。このとき結成されたのが、期間限定の役名ではなく、彼ら自身の名を冠した正式ユニット「亀と山P」である。
主題歌となった『背中越しのチャンス』で見せたのは、かつての『青春アミーゴ』のような背伸びした青さではなく、大人の余裕と軽妙洒脱なポップネスだった。互いにグループの絶対的エースとして、またソロアーティストや俳優として修羅場をくぐり抜けてきた男たちだからこそ出せる、絶妙な間合いと阿吽の呼吸。12年という空白など最初から存在しなかったかのように重なり合うハーモニーに、往年のファンのみならず新しい世代のリスナーまでもが酔いしれた。
発売中止の悲劇!幻のアルバム『SI』がお蔵入りとなった舞台裏と真相
そして2020年、ユニットの集大成となるはずだった大規模プロジェクトが発表される。二大ドームツアーの開催、そしてソニー・ミュージックレーベルズからのリリースが決定していた初のオリジナルアルバム『SI(シー)』の制作だ。タイトルの「SI」は、15周年を意味するローマ数字の「XV」の反転であり、スペイン語の「Sí(Yes)」を意味するなど、徹底した美学と拘りが詰め込まれていた。
しかし、突如世界を襲ったパンデミックによりドーム公演は延期を余儀なくされ、さらに同年後半、山下智久が長年所属した事務所からの退所を決断する。事態は急転直下を迎え、完成間近とされていたアルバム『SI』は発売中止という非情なアナウンスが下された。ジャケット写真も公開され、楽曲の予約も完了していた中での「お蔵入り事件」。マスター音源がレーベルの保管庫に眠ったままとなったこの出来事は、現代J-POP史において最も痛恨の未発表事件として今も語り草となっている。
STARTO体制への移行とNetflix進出――別々の道を歩む二人の現在地
あれから月日は流れ、二人の居場所と表現のキャンバスは劇的な変化を遂げた。亀梨和也は、新体制となったSTARTO ENTERTAINMENTの中核を担いながら、映画やテレビドラマで骨太な演技を披露し続けている。近年では個人YouTubeチャンネルの開設など、枠にとらわれない柔軟なセルフプロデュースで新たな支持層を開拓。その立ち振る舞いには、組織と個人のあり方を見つめ直した確固たる矜持が漂う。
対する山下智久は、独立後にグローバル市場へと大胆に舵を切った。Netflix配信の大作ドラマ『今際の国のアリス』シーズン2や、日仏米共同製作の国際連続ドラマ『神の雫/Drops of God』で主演を務めるなど、世界配信プラットフォームを通じて確かな国際的評価を確立。ハリウッド映画への出演やアリーナツアーの成功など、日本発の独立系アーティストとして前例のないフロンティアを切り拓いている。
交差する視線とファンの願い:2020年代後半に見える「再始動」のリアリティ
別々のフィールドで頂点を見据える二人だが、決してその絆が途絶えたわけではない。亀梨の公式YouTubeチャンネルで互いのエピソードが自然と語られたり、SNS上でのさりげないリアクションが交わされたりと、メディアの垣根を越えた関係性は良好そのものだ。かつてのような所属組織の違いによる見えない障壁も、現代のエンタメ業界においては急速に融解しつつある。
「いつか幻の『SI』をファンに届けたい」「もう一度二人でステージに立ちたい」――そうしたニュアンスの言葉がこぼれ落ちるたび、再始動への期待値は跳ね上がる。もちろん権利関係やスケジュールの調整などクリアすべきハードルは低くない。だが、自らの意志でキャリアをコントロールできる成熟期を迎えた今だからこそ、一夜限りのサプライズやサプライズリリースという奇跡は、決して非現実的な妄想とは言い切れないのだ。
時代を超えて響く引力――なぜ私たちは今も彼らの物語を追い続けるのか
亀梨和也がまとう鋭利な色気と情熱的なストイシズム、山下智久が放つ柔らかなカリスマ性と静かなる野心。太陽と月、あるいは水と油のようでありながら、ひとたび隣り合えば完璧なコントラストを描き出す。これほど劇的で美しい二元論を体現できるデュオは、後にも先にも現れていない。
大衆が彼らに焦がれ続けるのは、単なるノスタルジーではない。未完のまま凍結された物語の続きを見たいという渇望、そして大人になった二人が再び笑い合う瞬間を目撃したいという、エンターテインメントへの純粋な祈りがあるからだ。あの眩い放課後のような熱狂は、いつの時代も私たちのすぐそばで、再点火の合図を静かに待ち続けている。 (出典: 亀 と 山 p(Yahoo!ニュース))