「ココロオドル」から現在へ!マイクとリングと畑に生きる男の真実
ノリ ダ ファンキー シビレ サスという強烈な名前を耳にして、あの圧倒的な重低音ボイスを思い出さない音楽ファンはいないだろう。2000年代初頭、名古屋から突如として全国を席巻したヒップホップグループ「nobodyknows+」のフロントマン。彼の放つドスの利いたダミ声と痛快なフロウは、当時の日本の音楽シーンを根底から揺さぶった。
ステージでオーディエンスを煽り立てる姿だけでなく、ノリ ダ ファンキー シビレ サスはプロレスのリングや土の匂いが漂う農地でも確固たる足跡を刻んできた。ひとつの肩書に収まることを拒み、我が道を疾走し続ける異色のアーティスト。彼が辿ってきた破天荒な道のりと、その胸中に秘めた表現者としての信念を追った。
令和の夜明けに再燃した「ココロオドル」現象とTHE FIRST TAKEの衝撃
数年前、YouTubeの一角から巻き起こった熱狂は、今なお冷める気配を見せない。一発撮りのパフォーマンスを配信するチャンネル「THE FIRST TAKE」にnobodyknows+が登場した夜、世界中のタイムラインがざわついた。披露されたのは、平成を代表するアンセム「ココロオドル」。マイクを握るメンバーたちの熱量は、全盛期と何ら変わらないどころか、年齢を重ねた深みを帯びてさらに獰猛さを増していた。
配信直後から再生回数は爆発的なスピードで跳ね上がり、コメント欄はリアルタイム世代の歓喜と、彼らを初めて知った若い世代の驚きで埋め尽くされた。その余波は瞬く間にSpotifyなどの音楽ストリーミングサービスへと波及。国内外のプレイリストを席巻し、日本の音楽業界におけるリバイバルヒットの金字塔となった。画面越しに響き渡るノリ・ダ・ファンキーシビレサスの低音シャウトは、色褪せることのない楽曲の生命力をまざまざと証明してみせた。
ソニー・ミュージックから紅白へ、ジャパニーズ・ヒップホップ界を揺るがした軌跡
時計の針を少し巻き戻そう。インディーズ時代から地元・名古屋のストリートで圧倒的な動員力を誇っていたnobodyknows+は、ソニー・ミュージックエンタテインメントと契約を結びメジャー進出を果たす。そして2004年、テレビアニメ『SDガンダムフォース』のエンディングテーマに起用された「ココロオドル」が社会現象とも呼べるメガヒットを記録した。
キャッチーなサビと高度なマイクリレーが融合したこの曲は、普段ヒップホップを聴かない層の耳までこじ開けた。その勢いのままNHK紅白歌合戦への出場を果たし、ジャパニーズ・ヒップホップがお茶の間のメインストリームへと躍り出る歴史的な瞬間を創出する。アンダーグラウンドの熱気とポップセンスを極限まで掛け合わせた彼らのスタイルにおいて、ノリ・ダ・ファンキーシビレサスの野太い声はグループの強烈なフックとして機能していた。
マイクからリングへ!「今池プロレス」で魅せる泥臭いエンターテインメント
メジャーシーンの頂点を極めた男が次に向かったのは、なんと四角いジャングルだった。名古屋のディープなカルチャー発信地である千種区・今池を拠点とするローカル団体「今池プロレス」。ノリ・ダ・ファンキーシビレサスは単なるゲストや客寄せパンダとしてではなく、本格的なトレーニングを積んで一人のプロレスラーとしてリングに立ち続けた。
肉体と肉体が激突する鈍い音、観客の罵声と大歓声。ステージでマイクを握る表現手法とは全く異なるものの、「生身の身体で感情を揺さぶる」という根源的なエンターテインメントの精神は完全に一致していた。チョップを一発受けるごとに汗を飛び散らせ、泥臭く立ち上がる彼のファイトスタイルは、地元ファンから絶大な支持を集めることになる。音楽とプロレス、二足のわらじを履きこなす姿は、まさに型破りな彼らしい選択だった。
nobodyknows+のMCでありプロレスラー、ノリ・ダ・ファンキーシビレサスの現在とは?
音楽フェスで万単位の観客を熱狂させ、リングで身体を張ってきた彼が、近年その情熱を注ぎ込んでいるもう一つの顔がある。それは「農業」だ。地元・愛知県の土に触れ、無農薬や自然農法にこだわりながら、ネギをはじめとする様々な作物を自らの手で育てる生産者としての顔を持つ。
派手なスポットライトを浴びてきた男が、朝早くから畑に出て土を耕し、作物の声に耳を澄ませる。一見するとギャップに満ちた生活だが、彼にとって表現活動と農作業に境界線はない。ステージの上でも、リングの上でも、そして畑の中でも、嘘偽りのない自分自身を提示すること。誰かの心と身体を満たすものを作るという意味で、音楽も野菜も同じ地平にあるのだ。流行に流されず、自分の足で大地を踏みしめて生きるそのライフスタイルこそ、現在の彼を形作る最大の魅力となっている。
Crystal BoyやDJ MITSUと共に守り続ける名古屋カルチャーの矜持
nobodyknows+が他のグループと決定的に異なるのは、東京一極集中の音楽シーンに迎合せず、常に名古屋に拠点を置き続けてきた点にある。卓越したリリシズムでグループを牽引するCrystal Boy、卓越したトラックメイクとサウンドの屋台骨を支えるDJ MITSU。彼らと共に築き上げた結束は、時代の変遷を経ても微塵も揺らいでいない。
地方都市にいながら全国区のムーブメントを起こし、自分たちのスタジオから世界へ音を発信し続ける。商業主義の波に呑まれることなく、仲間たちと信じた音を鳴らし続けるスタンスは、後進のローカルアーティストたちに多大な勇気を与え続けている。彼らが守り抜いてきた名古屋カルチャーの矜持は、今や地方創生やインディペンデント精神の象徴として輝きを放っている。
畑とステージを行き来する唯一無二の表現者が見据える未来
肩書を増やし続けるノリ・ダ・ファンキーシビレサスの生き方は、マルチタスクという軽薄な言葉では到底括りきれない。マイクを持てば唯一無二のラップでフロアを沸かせ、リングに上がれば剥き出しの闘争心を見せ、畑に立てば命を育む。そのすべてが一本の太い幹で繋がっている。
作られた虚像ではなく、生活の手触りを感じさせる生々しいリアル。だからこそ、彼の放つ言葉はいつの時代も人々の胸に深く刺さる。デジタル全盛の時代にあって、汗を流し、土にまみれ、仲間と共に笑い合うその姿は、本物の表現者とは何たるかを雄弁に物語っている。これからも彼は、あらゆる境界線を軽やかに飛び越えながら、誰も見たことのない景色を見せてくれるはずだ。 (出典: ノリ ダ ファンキー シビレ サス(Yahoo!ニュース))