増位山太志郎の現在地!歌とちゃんこ店、メディア激減の真相とは
増 位 山 の 現在はどうなっているのか。昭和の大相撲ファンなら誰もが覚えている、甘いマスクと艶のある低音ボイス。大相撲の元大関でありながら、日本レコード大賞企画賞に輝くなど異色の足跡を残した増位山太志郎の姿を、テレビの大型歌番組で見かける機会は確かに減った。土俵と歌謡界という二つの頂を極めた男は、70代後半を迎えた今、どのような境地で日々を過ごしているのだろうか。
一部のファンの間で体調を懸念する声も囁かれるが、実際のところ増 位 山 の 現在は極めて健やかであり、地に足の着いた暮らしを丁寧に紡いでいる。親方として率いた三保ヶ関部屋の看板を下ろし、日本相撲協会を定年退職してから月日は流れた。華やかなスポットライトの先にある静かな日常を追うと、歌への変わらぬこだわりと下町への愛着が浮かび上がってくる。
土俵からマイクへ――『そんな女のひとりごと』が生んだ空前絶後の伝説
現役の大相撲力士がレコードを出し、それがミリオンセラーになる。令和の感覚からすれば信じがたい出来事だが、それを軽やかにやってのけたのが増位山太志郎だった。父親も元大関・増位山という名門の重圧を背負いながら、土俵上では技巧派として大関の地位まで登り詰めた実力者だ。
1977年にリリースされた『そんな女のひとりごと』は、夜の酒場を舞台にした切ない女心を情感豊かに歌い上げ、爆発的なヒットを記録した。稽古で砂にまみれた屈強な巨体から漏れ出る、驚くほど繊細で甘いウィスパーボイス。そのギャップに日本中が酔いしれた。続く『そんな夕子にほれました』も大ヒットとなり、演歌・歌謡曲の歴史において唯一無二の「歌う大関」の地位を決定づけたのである。
メディア露出が減った真相と健康状態――病気説の裏側にあるリアル
近年、テレビのバラエティや歌謡番組で見かける頻度が落ちたことで、ネット上では「重い病気を患っているのではないか」「引退状態なのではないか」といった憶測が飛び交うこともあった。だが、関係者を取材すると実情はまったく異なる。
露出が減った最大の理由は、年齢に見合った活動ペースへの意図的なシフトだ。70代後半となり、全国を飛び回る過密スケジュールを自らセーブしているに過ぎない。大きな病気で倒れたという事実もなく、声の艶を保つための喉のケアや適度な運動を日課にしている。メディアに頻繁に顔を出さなくなったのは、名声追従から離れ、自分のペースで人生を楽しむ段階に入った証拠と言えるだろう。
両国の歴史を継ぐ「ちゃんこ増位山」――厨房と店先で見せる素顔
相撲界を離れた後も、彼が情熱を注ぎ続けてきた場所がある。それが東京・墨田区に構える「ちゃんこ増位山」だ。旧三保ヶ関部屋の建物を活用して営まれるこの店は、単なる元力士の店という枠を超え、本物の味を求める食通たちが集う名店として愛されている。
部屋の伝統を受け継いだ鶏ガラベースのソップ炊きスープは、深いコクがありながらも後味は驚くほど澄んでいる。店を訪れた客の前にふらりと現れ、気さくに声をかける姿も珍しくない。かつて土俵で観客を沸かせた大関が、今では来店客の「美味しい」という笑顔を何よりの楽しみにしている。相撲界への恩返しは、土俵の上から食卓の上へと形を変えて息づいている。
テイチクエンタテインメントと共に歩む歌の道
もちろん、歌手としての歩みが止まったわけではない。長年所属する名門レーベル「テイチクエンタテインメント」との絆は今も固く結ばれている。年齢を重ねたからこそ出せる枯淡の味わい、人生の酸いも甘いも噛み分けた大人の色気が、近年の歌唱には満ちている。
若い頃の張り裂けるような切なさとは異なり、現在の歌声には聴く者を包み込むような温もりがある。大規模なコンサートツアーこそ控えているものの、ディナーショーや招待制のステージ、親しい仲間が集う歌謡イベントには今もマイクを握って登壇する。その歌声を生で聴いた古くからのファンは、「昔と変わらない艶がある」と口を揃える。
YouTubeとNHKアーカイブで再燃する昭和ムード歌謡の再評価
意外なことに、若い世代の間でも彼の存在感は高まりつつある。その起爆剤となったのが、YouTubeをはじめとする動画プラットフォームや、NHKのアーカイブ番組の再放送だ。昭和レトロカルチャーやシティポップの文脈からムード歌謡へ辿り着いた若者たちが、「この甘い声の主は誰だ?」と衝撃を受けている。
大相撲のまわしを締めた屈強な男が、スタンドマイクの前で静かにマイクを握り、吐息のような声で歌う当時の映像は、現代の若者にとって新鮮かつスタイリッシュに映るらしい。古いレコードを買い集める若い音楽ファンが「ちゃんこ増位山」を聖地巡礼のように訪れるケースも増えており、世代を超えたカルチャーの交差点がそこに生まれている。
土俵の魂を胸に――飾らない日々の先にあるもの
勝負の世界で頂点近くまで登り詰め、芸能界の華々しいスポットライトを浴び、そして親方として弟子を育て上げた。波乱に満ちた半生を駆け抜けてきた彼が今、最も大切にしているのは「無理のない自然体」だという。
大相撲の伝統に敬意を払いながら、下町の空気の中で仲間や家族と笑い合い、請われればマイクを取って往年の名曲を口ずさむ。そこには肩肘を張った気負いは一切ない。大関としての誇りと、一人の唄い手としての矜持。その両方を胸に秘めた男の背中は、今も変わらず静かな色気と風格を漂わせている。 (出典: 増 位 山 の 現在(Yahoo!ニュース))